大好きなおばあちゃんの家に大嫌いな犬が来た!


子供の頃、犬が大嫌いだったんです。大声でワンワン吠えるし、お友達が噛まれたなんて話もきいて、怖くて怖くて。極めつけに、学校帰り、近所の家の玄関から飛び出してきたダルメシアンに追いかけられて、泣きながら逃げ回ったんです。犬は追いかけっこで遊んでもらってると思ったらしく大はしゃぎでしたが、私はこの世の終わりのような思いでした。
そんなある日のことです。我が家は両親共働きで、私はいつもおばあちゃんの家にいて、おばあちゃん大好きっ子だったんですが、その家に住むいとこが「今日から家に犬がいるぞ」と楽しそうに言ってきました。犬が怖い私にとって、それはもうおばあちゃんの家に行くことができなくなるのと同じ意味でした。子供ながらに軽く絶望感をおぼえ、これからどうしようと半泣きでした。
ドキドキしながらおばあちゃんの家に行くと、部屋にも庭にも犬は居ませんでした。おばあちゃんが「犬は物置に繋いである」と教えてくれました。まだまだ子犬で、全然怖くないから大丈夫だよ、というのです。おそるおそる物置に行くと、そこには茶色くて小さな子犬がいました。そっと近づいてみると、私の方へと尻尾を振りながら近づいてきて、キュンキュンと鼻を鳴らし始めました。その時初めて「犬が可愛い」と思いました。触ってみるとあたたかくて、撫でてあげると喜んで、私が離れようとすると寂しそうに鳴いて。親犬から離されて、誰もいない物置に一人ぼっちでつながれている子犬が、なんだか自分みたいに思えたんです。両親はいつも居なくて、おばあちゃんは大好きだけど、ここは自分の家ではないからずっと一緒に居てくれるわけではないし。夕ご飯だよって呼ばれるまで、その日はずっと子犬と一緒に居ました。
しばらくすると子犬はおばあちゃんの部屋の縁側に繋がれるようになりました。私とおなじで、おばあちゃんのことが大好きな様子でした。相変わらず私は他の犬は苦手だったけど、おばあちゃんの犬とは仲良しでした。おばあちゃんと私と犬の三人でお散歩にも行きました。犬はおばあちゃんの言うことは聞くけど私の言うことは全然聞いてくれなくて、私だけとお散歩に行くと、いつも帰りたくないとワガママをし、三時間くらい散歩させられたこともあります。
田舎の家なので、洒落たドッグフードじゃなくて、いつも味噌汁掛けご飯を美味しそうに食べていました。私もそういうご飯大好きだよって頭をなでて、一緒に日向ぼっこして、いつしか他の犬も怖くなくなって、私、犬が大好きになってたんです。
あれから10何年も経って、大好きなおばあちゃんも、おばあちゃんの犬ももういません。だけど三人でお散歩したあの日々は、一生忘れられない大切な思い出です。

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