愛犬が我が家にやってきてからいなくなるまで


我が家に犬がやってきたのは,私が中学1年生になった時でした。小さいころから生き物が大好きだった私は,母に犬を飼いたいと日ごろからお願いしていました。するとある日母が,
「中学生のテストで学年5番以内に入ったら飼ってもいいよ。」
と言ってくれました。そこで私は入学最初の試験で5番以内に入ることができました。しかし母は,
「今回は英語が入っていなかったから,次また5番以内に入ったら飼ってあげる。」
と言いました。
私は犬を飼いたい一心で一生懸命勉強し,英語も含まれた期末テストで,5番以内に入ることができました。
そしてとうとう,犬を飼うことを許してもらうことができました。
 木枯らしが吹き始めたころ,祖母が知り合いから,子犬を連れて帰ってきました。シェパードと柴犬の雑種だというその子犬は全身茶色と黒のマーブル模様でくりっとした茶色い目をしていました。シェパードが入っているためか,足は太くしっかりしており,将来は大きくなるのかと思われました。
家にやってきたころは,見たことのない場所へ来たせいか,散歩も嫌がり,抱いて歩くことが多々ありました。しかし,慣れてくると自分から率先して散歩し始め,ほかの犬にも興味を示し始めました。
 体つきがしっかりし始めると,最初は15分程度だった散歩の時間も徐々に長くなり,我が家にやってきて1年たつ頃には1時間程度のびました。家から30分程度のところにある土手の草むらでリードを延ばしてあげると,耳を伏せまるで野生に帰ったかのように走り回りました。私も一緒に走ると,飛びついてきたりして,一緒になって遊びました。
 小さいころは足が太くしっかりしていたので,大型犬のように大きくなるのかと思っていましたが,予想に反し柴犬くらいの大きさでとまりました。大きさは柴犬ですが,顔つきは精悍なシェパードに似ており,耳も大きくピンとはっていました。鳴き声も野太く,外見も凛々しいため,一見すると怖そうですが,目がやさしく,飼い主目線かもしれませんが,かわいい子に育ちました。
 大きな病気をすることなく健康に育ってくれていたのですが,10歳を超えると徐々に老化が始まり,1時間かけていた散歩も,帰り道でばて始めたため,30分に短縮することになりました。散歩コースが変更になったため,草むらで遊ぶ機会も減ってしまいました。行きはぐいぐいと引っ張るほど力強く散歩するのですが,帰りはぐったりと後ろをついてくるような感じで,おばあちゃんなんだなと感じました。
 それでも,ほかに大きな変化もなく日々を過ごしていたのですが,昨年あたりから急激に老化が加速しました。初めは耳が聞こえなくなり,呼んでも反応しなくなってしまいました。苦手な雷が鳴っても素知らぬ顔をしていました。次に,鼻が利かなくなり,初夏くらいには目が見えなくなってしまいました。目が見えなくなったころは,そのことを受け入れられなかったせいか,少し凶暴になってしまっていました。目が見えなくなると,自分で探して餌を食べたり,水を飲んだりすることができず,口元まで餌や水を持っていってあげる必要がありました。それでも,餌をモリモリ食べ,散歩も15分程度と短くなってしまってはいましたが,歩いていました。しかし,老化のせいか,食べているのに体重は次第に減少し背骨も曲がってきてしまいました。
 そしてとうとう,今年の1月眠るように亡くなりました。16歳でした。遺骨は共同墓地へ埋葬し,家に遺影を置き,花を絶やさず飾っています。共に過ごした時間は一生の宝物です。

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